nujabesラストアルバムとなる3rdアルバム「Spiritual State」。
nujabesが目指した遥か地平線の先、それは人と人とのスピリット(魂)が激しく共鳴し合いその眩い光が無限に広がる奇跡の光景が広がっている。完成されることのなかったこのアルバムは、そのピース一つ一つが繋ぎ合わされそれぞれの心象の中で完成を迎える。
「metaphorical music」「modal soul」と過去2枚のアルバムをリリースし、現代の音楽業界の流れと別に宣伝活動を行わずに純粋に音=作品のリリースを続ける稀有のレーベル「hydeout productions」主宰でもあるnujabesの6年ぶりの3rdアルバムにしてラストアルバムである「spiritual state」。本アルバムのタイトル曲となる「spiritual state」は、nujabesが生前、全身全霊を捧げ、身を賭して育んできた音楽による心象世界の最深部から更に奥に広がる新たな桃源郷への入り口であり、それは彼の精神と音楽が空間を超越した座標上で共鳴し合い、より自然なかたちで澄み切った安寧の泉のような光景を描き出したものである。この曲は、生前の彼が迷いなく早い段階からアルバムの中心に位置する最重要曲としてポジショニングしており今まで強いビートアクセントを主体とした彼の曲のフォーマットを一変し、人それぞれの魂から発せられるかのような音色とでも言うべき、手拍子、ピアノ、サックスのシンプルかつ聞き手の心の襞を優しく包み込むようなnujabesでしか絶対になし得られない慈愛に満ちあふれた音楽表現となっている。
人々の放つ愛や絆といったものを鮮やかに描きだしたこの「Speitual State」での幕開けから一転、今度は躍動感溢れる魂の鼓動ともいうべきビートとエモーショナルなピアノのリフレインが躍る中、気鋭MCのCise Starが切り込んでくる
「sky is tumbling」、そしてnujabesの盟友にしてクラシック曲「blessing it」でその名コンビネーションぶりを発揮していた二人のMC、pase rockとsubstantialがオーガニックなパーカッションとビートと絶妙にレイドバックするピアノが展開されるトラックの上で、息の合った掛け合いを繰り広げる「city light」艶やかで、非常に美しいピアノのフレーズが一瞬にして人の心を鮮やかに彩り、ダンサブルなビートにpase rockがメッセージ性溢れるリリックを展開する「yes」、そして誰もが心に持つ「懐かしさ」や「安らぎ」を感じさせる郷愁溢れるピアノが揺らめく
nujabes特有の温かみのあるトラックに溶け込むように揺蕩うuyama hirotoの美しいサックスの調べと、より郷愁感を鮮やかなものにしてくれるharuka nakamuraによって爪弾かれるアコースティックギターの音色が印象的な「island」は、nuabesが追い求めてきた音楽の地平の向こう側にゆっくりと沈む夕陽のような優美さを描きながら静かにこのアルバムは幕を下ろす。
残念ながらnujabesの急逝によりこのアルバムは未完となってしまったが、彼が渾身の力を注いで紡ぎあげてきた魂の分身とも言うべき作品たちは今も尚その眩い光とメッセージを放ち続けている。
そして彼を偲びつつ、このアルバムを聞いた人それぞれが、作品の一つ一つに宿る魂を噛み締め、解放された純な精神(spiritual state)で耳を傾けることでそれぞれの心の中でアルバムが完結を迎えると共に、彼が追い求め続けて来た地平の先はこれからも無限に広がり続けていくことを確信するだろう。
01. Spiritual state featuring Uyama Hiroto
02.
Sky is Tumbling featuring Cise Star
03.
Gone Are The Day featuring Uyama Hiroto
04. Spirale
05. City Light featuring Substantial & Pase Rock
06. Color of Autumn
07. Down on the Side
08. Yes featuring Pase Rock
09.
Rainy Way Back Home
10.
Far fowls
11.
Fellows
12. Waiting for the clouds featuring Substantial
13. Prayer
14. Island featuring Uyama Hiroto&haruka nakamura